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高森明勅
2019.5.15 03:23皇室

天皇が「牛車」に乗らなかった理由

平安時代から室町時代にかけて、
上皇をはじめ皇族や貴族が乗った牛車(ぎっしゃ)。

文字通り、牛が牽(ひ)いた。
最高級の牛車は「唐車(からぐるま)」と呼ばれ、
上皇などが乗る。

ところが天皇は牛車に乗らなかった。

何故か?

牛に牽かせる為に、暴走する恐れが皆無ではない。
だから“より”安全な、人が担ぐ「輦(れん)」と呼ばれた
輿(こし)で移動された。

この一事だけからでも、国家の公的な秩序において、
天皇は上皇より上位にあった事実を知る事が出来る。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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